木造建築を設計することの楽しさ/ほか … 建築設計・WanderVogel ― 2014/02/26
 
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昨日行った新潟の「こども園」は構造体や内装材に県産材(越後スギ)を使って造られているのはもちろんですが、テーブルやイス、棚などの家具、室内サインなどの備品まで地元材で作られています。
各部屋に付けられた木製のサインパネルには可愛らしいイラストが印刷されていますが、基材の材料がすべて地元材というわけではないのかな。タモっぽいのやアカマツっぽい木目のものも見られました。
新潟県内の山林で植林し育てられている針葉樹はスギ材が主な樹種で、なぜかヒノキやカラマツなどは見かけません。
ただ、地元の製材所には地元の山から切り出されたナラ、トチ、ホウノキ、ブナ、クリ、ケヤキなどの広葉樹がそろっていてこれもなかなか楽しそうです。
スギ材は木目もきれいで加工し易く使いやすい材なのですが、表面が柔らかいのが良い面でもあり悪い面でもあります。
一般的にスギ材だけで構造体・集成材(集成材に加工する際には、柔らかいスギと硬いカラマツを混ぜて作ったりもする)を造るとどうしても構造断面が大きくなりがちです。
また、フローリングに加工して床材に使うと傷つき易く、おまけに収縮率も高いので材料同士を合わせた時に隙が出やすいことから、そういった木材の特質をよくわかった上で(施主にも良く説明した上で?)使うことが大切です。
へそ曲がりの私はそれが結構好きでして、以前 横浜である住宅を設計した時には(なぜか地元の神奈川県丹沢産ではなく、山形産を使ってしまいましたが…)スギ材で縁甲板を作ってもらい無垢フローリング材として使ったことがあります。
吹き抜けに設えた階段の踏板や勾配天井の羽目板などにも好んで無垢のスギ材を使わせてもらいました。
その時は新潟県と山形県の県境近くにある温海温泉の山の中を地元の林業関係者とともに一緒に見て回って、その地元の製材所で木材を確認して加工してもらったという思い出があります。
スギ材は木目がはっきりしていてきれいですし(その木目が好き嫌いの出る元でもあるのですがね…)、表面に傷は付き易いのですがその分なかなか手触り/足触りも柔らかくて私は好きな木材ですけどね。
また、長野県内の山中に建つ別荘を設計した時には、地元のカラマツ材を縁甲板に加工し内外装の仕上げに使いました。
カラマツは山に木を植林する際に選択される重要な樹種のひとつで、根付きが良く成長も早いことから特に長野県では戦後に大規模な植林が行なわれ、造林面積の約50%近くがカラマツ林になっています。
カラマツは材としては硬くて丈夫でたいへん良いのですが、らせん状に繊維が育つため乾燥後に割れや狂いが生じやすく、板材としては使いにくいといわれています。ですので、縁甲板として使う際には板幅を狭くして加工するとか、取付けの際には密に(隠し釘ではなく、表面からの)釘打ちをするとかクリアランスを多めに取って打ち付けるなど、施工には工夫が必要になってきます。
群馬県の赤城高原にある医療施設内でオール木造の温泉温浴施設を設計した時には、地元産の材はスギ・ヒノキを使い外壁のカラマツ縁甲板は北海道産のものを使いました。ホールや脱衣室はもちろん、浴室内も壁から天井まで全て地元のヒノキ材とヒバ材で仕上げました。
余談ですが、その時は温泉浴室内の床や腰壁にも地元産の石材を使おうということで、石の集積場を何カ所か見て歩き吸水性の少なくて切った面の肌合いのきれいな石を選んで、今ではあまり見かけなくなった手作業の加工場(?)を持っている石屋さんに運んでベルトソウでスライスしてもらい使いました。
ただ、地元産の木材を積極的に使うとひとくちに言っても、なかなか全ての木材を地元産で揃えることは難しいものです。
適材適所という言葉があるように、屋外で使っても耐候性のあるもの、温泉浴室内などで使える湿気や腐食に強いもの、色変わりの少ないもの、寸法的な狂いの少ないものなどなど、その場所その使い方に合わせて樹種を選択していくのもある意味、設計をすることの楽しさのひとつということです。
全てにいえることは、スギ・ヒノキに限らず木材は山で育てている時点での枝落しや間伐作業がとても大切で、しっかり管理して育ててあげないと、製材した時に死に節や枯れ節、樹皮の巻込みや色変わり、内部の腐れなど製材したときの不具合が直接目に見えて出てきてしまうものです。
木材というもの大工さん(今は製材所での加工の善し悪しということになるのかな)の刻みの上手/下手だけでなく、育っていく過程・山(森林)での管理がとても重要になってくるというわけですね。
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昨日行った新潟の「こども園」は構造体や内装材に県産材(越後スギ)を使って造られているのはもちろんですが、テーブルやイス、棚などの家具、室内サインなどの備品まで地元材で作られています。
各部屋に付けられた木製のサインパネルには可愛らしいイラストが印刷されていますが、基材の材料がすべて地元材というわけではないのかな。タモっぽいのやアカマツっぽい木目のものも見られました。
新潟県内の山林で植林し育てられている針葉樹はスギ材が主な樹種で、なぜかヒノキやカラマツなどは見かけません。
ただ、地元の製材所には地元の山から切り出されたナラ、トチ、ホウノキ、ブナ、クリ、ケヤキなどの広葉樹がそろっていてこれもなかなか楽しそうです。
スギ材は木目もきれいで加工し易く使いやすい材なのですが、表面が柔らかいのが良い面でもあり悪い面でもあります。
一般的にスギ材だけで構造体・集成材(集成材に加工する際には、柔らかいスギと硬いカラマツを混ぜて作ったりもする)を造るとどうしても構造断面が大きくなりがちです。
また、フローリングに加工して床材に使うと傷つき易く、おまけに収縮率も高いので材料同士を合わせた時に隙が出やすいことから、そういった木材の特質をよくわかった上で(施主にも良く説明した上で?)使うことが大切です。
へそ曲がりの私はそれが結構好きでして、以前 横浜である住宅を設計した時には(なぜか地元の神奈川県丹沢産ではなく、山形産を使ってしまいましたが…)スギ材で縁甲板を作ってもらい無垢フローリング材として使ったことがあります。
吹き抜けに設えた階段の踏板や勾配天井の羽目板などにも好んで無垢のスギ材を使わせてもらいました。
その時は新潟県と山形県の県境近くにある温海温泉の山の中を地元の林業関係者とともに一緒に見て回って、その地元の製材所で木材を確認して加工してもらったという思い出があります。
スギ材は木目がはっきりしていてきれいですし(その木目が好き嫌いの出る元でもあるのですがね…)、表面に傷は付き易いのですがその分なかなか手触り/足触りも柔らかくて私は好きな木材ですけどね。
また、長野県内の山中に建つ別荘を設計した時には、地元のカラマツ材を縁甲板に加工し内外装の仕上げに使いました。
カラマツは山に木を植林する際に選択される重要な樹種のひとつで、根付きが良く成長も早いことから特に長野県では戦後に大規模な植林が行なわれ、造林面積の約50%近くがカラマツ林になっています。
カラマツは材としては硬くて丈夫でたいへん良いのですが、らせん状に繊維が育つため乾燥後に割れや狂いが生じやすく、板材としては使いにくいといわれています。ですので、縁甲板として使う際には板幅を狭くして加工するとか、取付けの際には密に(隠し釘ではなく、表面からの)釘打ちをするとかクリアランスを多めに取って打ち付けるなど、施工には工夫が必要になってきます。
群馬県の赤城高原にある医療施設内でオール木造の温泉温浴施設を設計した時には、地元産の材はスギ・ヒノキを使い外壁のカラマツ縁甲板は北海道産のものを使いました。ホールや脱衣室はもちろん、浴室内も壁から天井まで全て地元のヒノキ材とヒバ材で仕上げました。
余談ですが、その時は温泉浴室内の床や腰壁にも地元産の石材を使おうということで、石の集積場を何カ所か見て歩き吸水性の少なくて切った面の肌合いのきれいな石を選んで、今ではあまり見かけなくなった手作業の加工場(?)を持っている石屋さんに運んでベルトソウでスライスしてもらい使いました。
ただ、地元産の木材を積極的に使うとひとくちに言っても、なかなか全ての木材を地元産で揃えることは難しいものです。
適材適所という言葉があるように、屋外で使っても耐候性のあるもの、温泉浴室内などで使える湿気や腐食に強いもの、色変わりの少ないもの、寸法的な狂いの少ないものなどなど、その場所その使い方に合わせて樹種を選択していくのもある意味、設計をすることの楽しさのひとつということです。
全てにいえることは、スギ・ヒノキに限らず木材は山で育てている時点での枝落しや間伐作業がとても大切で、しっかり管理して育ててあげないと、製材した時に死に節や枯れ節、樹皮の巻込みや色変わり、内部の腐れなど製材したときの不具合が直接目に見えて出てきてしまうものです。
木材というもの大工さん(今は製材所での加工の善し悪しということになるのかな)の刻みの上手/下手だけでなく、育っていく過程・山(森林)での管理がとても重要になってくるというわけですね。
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