木造住宅の平面・構造・技術の流れを考える … 建築講義・文化財保全/HM2014/06/30

木造塾の講義スナップ
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先日、建築士会の技術支援委員会 木造塾部会の主催で開かれた「木造塾 2014第1回」に行ってきました。
ヘリテージマネジャーの講習他でもおなじみの小沢 朝江先生による「寝殿造・書院造から現代へ ・木造住宅の平面・構造・技術の流れを考える」と題された講義・講座でした。

今回の講義は表題のように、日本の平安時代~室町・鎌倉時代を経て江戸時代へと続く、木造住宅の流れを(駆け足で)探って行こうというものでした。
中身がすごく濃いのに時間が少ない(時間が無くて現代まではいけなかったよ)ので、話しをされる先生も苦労されたと思いますが、大変興味深い話題で楽しいものでした。

書院造りから数寄屋造りへの変遷の話しに関しては、(たんに僕が何となく思っていた)利休の思い描いた「書院造りを頂点とする正当派デザインあるいはあまりにきらびやかな桃山建築に対するカウンターパート」としての茶室・数寄屋造りという捉え方とは違う側面があるようで(そりゃそ~だ)、これもまだまだ奥が深いなぁ。 面白いなぁ!


話しのなかでも特に、民家に使われていた木材の材種の研究成果はとても興味深かったですね。
当時としては(厳格な)家作制限もあっただろうと思いますが、やはり民家の建築材種のセレクトにあたっての大きな要因は、(私有林であろうと入会林であろうと)その地方地方の山の植生に左右されていたことが解ります。(まあ、あたりまえと言えばそうなのだが…)

古くから材種の性質(耐候性・腐朽性、木材表面の緻密さ)や構造的な(材料力学的な)こと、をよく解っていて使っていたであろう、各使用部分ごとに変えられていた材種選定の内訳のことなど、興味は尽きません。
この辺のことって、意外と解っていそうで解っていない(研究が進んでいない)ことなんだよなぁ、とあらためて思ったしだいです。
また、民家であろうと神社仏閣であろうと、日本の建築の木材材種、材の大きさ(径と長さ)の変遷の解明とその時の日本の山の植生、大径木の総量などが明らかになれば、より多くの事柄が細かく解ってくるのだろうと、これもまた興味が尽きない。

日本にありながら、日本の建築、日本の民家に関してしっかりとした研究が進んでいない、知られていない、ことは残念なこと、さびしいことです。
極論すれば、「木と土で出来ている日本の建物」そのすばらしさを建築に関わる人だけでなく、一般の人にも伝え残していきたいものです。

森林インストラクターと三渓園でのガイドボランティア、、少しはそんなことの手助け・手伝いが出来ているのかなぁ、と思ったりもしているが、僕にはまだまだだな

横浜山手に関東大震災後に建てられた洋風住宅の修復見学会:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2014/03/29/

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