箱根・湯坂路で見つけたたくさんの山の幸 2 … 自然観察・WanderVogel2014/09/21

箱根の豊作のヤマボウシ
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箱根湯坂路の山の幸2、豊作のヤマボウシ(ミズキ科)。

今年はヤマボウシも大豊作のようです。箱根のサルはさぞ喜んでいることでしょうね。
もちろん、人間が食べても甘くて美味しい実ですけど、ヤマボウシにしてみれば人よりも猿に食べて欲しいと思っていますよ。

昔、箱根の方言でヤマボウシのことを「クサ」と呼んだそうです。
ヤマボウシの正式学名である「Cornus kousa」(コーナス・クサ)は、まさにそこから名付けられました。
ちなみにCornusとは、ラテン語の「cornu(角)」が語源で、材質が堅いことに由来すると言います。

ある有名な植物学者が「箱根はヤマボウシの大国」と言ったそうですが、たしかに箱根の山でも芦ノ湖畔でもヤマボウシはたくさん目に付きますから、箱根を代表する木ですね。

箱根を守る会のHPに、幕末の著名な洋学者で津山藩藩医の宇田川榕庵(うだがわ ようあん)が箱根でヤマボウシを採取し、その標本をシーボルトに贈ったことから「コーナス・クサ」という学名がついたとあります。そのくらい、ヤマボウシと箱根は縁のある関係だったのですね。


最近、街中ではヤマボウシに良く似た 近種のハナミズキ(アメリカヤマボウシ)を街路樹で良く見受けますが、昔からヤマボウシの木は里山でも多く見られ、人々の生活と密着していました。
長野県などではヤマボウシの花が咲いたら田植えの季節だ、というように指標植物にもなっていると聞きました。

ヤマボウシとハナミズキ、花(実際には花弁ではなく総苞片というガクのようなもの)の姿はよく似ていますが、実の方は別物です。全然似ていません。


その理由は、猿の多い東北アジアを原産とするヤマボウシは、猿が実を捕食して種を散布してくれることを期待し、そういう大きさ・形・味に進化してきたというのだそうです。

一方の(猿のいない北アメリカ原産の)ハナミズキの方は、鳥がついばんで種を散布してくれるのを狙ってくちばしで摘み易い形になったとのことです。

自然界の進化というのは、奥深くて神秘的でほんとに面白いですね。

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