森林探訪・花咲く里山に似つかわしくないのは? … インストラクター・WanderVogel2015/09/29

ヒガンバナとキダチチョウセンアサガオ
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先日行われた、森林探訪「大雄山最乗寺・苔むす樹齢500年のスギ巨木を訪ねて」での一コマ

大雄山・最乗寺周辺に広がる苔むした樹齢500年のスギ巨木林を抜けると、ルート上の景色は一変して「花咲く里山」と名付けられた山里の集落の間を歩きます。
田んぼの稲は一部を除き、すでに刈り取られていました。

下見の時からずっと気になっていて、当日も参加者から質問のあったことなのですが、この里山では何故か田んぼの畦に、ヒガンバナと並行するようにキダチチョウセンアサガオがズラッと植えられています。
その風情がどうしても日本の山里の秋の風景に馴染まないのですよ。(失礼ながら)なんかこう 違和感があるんですよね。
参加者のみなさんもそう感じたのでしょう。

なぜ?
なぜ植えられているのがチョウセンアサガオなの? という質問に結びつくのだと思います。

そこで自分なりにちょっと考えてみました。
ではなぜ、畑の畦にヒガンバナを植えるのか、ということですが、これはヒガンバナの持つ「アレロパシー:他感作用」の効果を期待して植えられている、ということは良く知られています。

アレロパシー作用とは、簡単にまとめると「ある植物が他の植物の生長を抑える物質を出すことで、他の植物の生長や浸入をブロックするという植物のもつ防御機能」のことを指します。
もちろん、ブロックする対象は植物だけに限らず、対昆虫、対動物に関しても同様に防御機能を発揮します。

ヒガンバナは全草有毒な多年草の球根性植物です。
縄文時代に稲作の移入に合わせて入ってきた帰化植物と言われています。
田んぼの畦に植える風習があるのは、ヒガンバナの有毒な球根で土に穴を掘る小動物の浸入を止めるためのようです。
また、ヒガンバナは救荒植物でもあります。球根に含まれるアルカロイド系の毒(リコリン)を水に晒すことで除去し、飢饉の際の非常食として利用するのだそうです。
大東亜戦争末期から終戦後の食糧難の時にもそのようにして食べられたと言います。

何らかのアレロパシー能力を持っている植物は身近に意外に多くて、サクラ(葉からクマリンという物質を出す)、オニグルミ、ソバ、アスパラガス、ニセアカシア、セイタカアワダチソウなどが知られています。

で、キダチチョウセンアサガオはどうなのか、と厚労省のHPに載っている「自然毒のリスクプロファイル」を調べてみると、名前にアサガオと付くが、ナス科の植物でヒガンバナ同様に全草(花・葉・茎・根)全てに強力なアルカロイド系の毒を持っている「要注意植物」として記載されています。

毒草で有名なトリカブト(アルカロイド系の毒)と同じくらい?強力な毒を持っているようです。

しかも、耐寒性のある多年草ということですので、農家の人にとってはヒガンバナと同じような効果を期待して植えられているのかなぁ、と想像しますが、、、

本当のところはどうなんでしょうね??

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