丹沢山中の林道脇にひっそりと咲くマヤラン … 自然観察・WanderVogel2021/10/11

マヤラン:ラン科シュンラン属
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昨日の自然観察でのスナップ。
マヤラン:ラン科シュンラン属の植物。Cymbidium macrorhizon
学名からも解るようにシンビジウムの仲間だ。漢字で書くと「摩耶蘭」

マヤランは根も葉も無い変わった植物だ。
腐葉土のような林床から明るい薄緑色の花茎を伸ばし、今まさに花びらを開こうとしていた。

マヤランも以前に書いたギンリョウソウモドキとまったく同じ仕組みで生きている。地下の菌類(キノコなど菌類の地中菌糸を消化して栄養を吸収している)から栄養を受け取り生存を維持している。菌従属栄養植物と呼ばれる不思議な生態系を持った植物の仲間なのだ。
マヤランは環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に分類されているが、丹沢では運が良ければ林道脇でも普通に見られる。

怪しい姿をした「ギンリョウソウモドキ」と違い、「マヤラン」の方はいかにもか弱く可憐な姿に見える。
明るい色調の花びらを持つマヤランは自動自家受粉をするので、花粉を媒介する虫に頼らなくても着実に実を結ぶことが出来る。
かたやちょっと薄気味悪い形態をしているギンリョウソウモドキは虫媒花なので、媒介する虫の助け無しには結実しない。姿かたちだけ見ていると全く逆のような気がするのだが、植物の進化というのはまったく不可思議なものだ。

いや、これは人間の一方的な思い込みなのかもしれない。
人間よりはるかに長い歴史を持ち、種類も数も多い「虫」たちにとっては、人の美意識とは全く逆の価値観と決まった植物との間で交わした生存に関する古い契約をいつまでも忘れないでいるのかもしれんな。

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