山の自然素材を使って作るアート(スズメノヤリ) … Nature Art・Workshop2021/10/18

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「タネ・種子」に注目して作った標本風のサンプル作品:スズメノヤリ(雀の槍)
「森林インストラクターと山を歩き、山で収集したもので作品を作ってみよう」という“森のワークショップ”の一環で作成した、WS用の個人的な「習作」

スズメノヤリ(雀の槍、Luzula capitata):イグサ科スズメノヤリ属の多年生草本。

茎は地中にあり、地表に根出葉を出してそこから10~30cmの花茎を伸ばし、茎頂に1つに集まった花序を付ける。
根生葉はイネ科植物特有の線形の細長い形をしている。
この属の植物は温帯から亜寒帯にかけて分布し、60~80種もあるとされ、日本にはそのうちの10種ほどが生育している。

果実は朔果で種子は3個。種子はエライオソームを含み、それを目当てに集まるアリたちによって散布される。
植物は子孫繁栄のために種子をさまざまな方法でできるだけ広い範囲に散らす仕組みを持っている。
自ら種子をまき散らすもの、水や風の力を利用するもの、動物の毛に絡まって移動するもの、植物たちはその進化に合わせて様々な工夫を凝らしている。

種子散布の一つの方法とスズメノヤリは、アリによって種子を拡散散布させる方法を編み出した。
種子にアリの好む誘引物質(エライオソーム)を忍ばせ、アリに種子を巣まで運ばせるのだ。アリの巣に運ばれた種子はエライオソームだけがアリの餌になり種子そのものは巣の外に捨てられる。まさに、スズメノヤリのねらい通りだ。

こうしたアリを利用した種子散布の仕組みを持っている草本は200種ほどあるという。「アリ散布植物」というのだそうだ。
身近なところでは、スミレやムラサキケマン、フクジュソウ、カタバミ、ホトケノザ、カタクリ、などがある。
どれも種子自体はアリが運べるサイズ(直径1mm程度)である必要があるので、かなり小さい。観察にはルーペが必要となる。

花茎の先端の花のかたまりが、大名行列で用いられた毛槍(けやり)に似ていることが和名の由来だ。
和名に「スズメ」という枕言葉が付けられた植物がいくつかあるが、姿かたちが小さいからそう名付けられるのであろう。

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