西域 タクラマカン砂漠・カシュガルへの道 1984 … WanderVogel2012/03/06

カシュガルへの道 1984
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西域 タクラマカン砂漠(土漠)の入り口の街 ウルムチから、このおんぼろバスで3泊4日 土漠の道(シルクロード)をひたすら西走すると、砂漠の街 カシュガルに着きます。

途中、カラシャール、クチャ、アクスといった砂漠の隊商町の土の宿に泊まりながらの爆走ローカルバスの旅です。(私が行った時(1984年)には、カシュガルにも滑走路が1本ありましたが、めったに飛行機が飛ばないので、主な交通機関はやはりこのバスということになります。)

土漠の道は北にテンシャン(天山)山脈、南にタクラマカン砂漠に挟まれたタリム盆地を東西に貫いて走っています。

カシュガルから先は、前にも書いたようにクンジュラブ峠(パキスタンと中国国境)を越えて(パキスタン領の)フンザ・ギルギットへとつながっています。
カラコルムハイウェーです。
(ハイウェーといっても、狭く険しい危険な山道です。)

このローカルバスの乗客のほとんどは地元ウイグル人です。その他、私にはまったく見分けがつきませんが、砂漠の少数部族が乗っています。

さすがに漢民族の姿はめっきり減って、周りの景色も、目に入る人々も、シルクロードっぽく? なってきます。

食事もカバブとマトンとナン、そして砂漠の果物(ブドウやウリ、ザクロなど)という感じになってきて、これもいかにもシルクロード色いっぱいになってきます。


ウルムチやカシュガルには歴史的にも建築的にも貴重な霊廟やモスクその他の遺跡などがたくさんありますが、その話しはまた別の機会に書きましょう。

・・・不定期に つづく

烏魯木斉雑詩 紀昀の七言絶句 … WanderVogel2012/03/06

砂漠に延びる道
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「烏魯木斉」と漢字で書いて「ウルムチ」と読みます。
西域 シルクロード・タクラマカン砂漠の入り口の街です。

中国の詩人の中には、辺境の地である西域に都監として赴任し、あるいは流され、そこの風光を詠んだ詩人が多くいます。
唐代の岑参(シンジン)や王昌齢、元代の耶律楚材(ヤリツソザイ)や薩都刺(サツトラ)など、時代を問わず多くの詩人が西域の歌を読んでいます。

清代の詩人「紀昀 (きいん)」もその一人で、30代半ばに「ウルムチ」に流され、そこでたくさんの七言絶句を詠んでいます。
その中に(背後に雪を頂いた天山山脈を持つ)シルクロードの砂漠ならではの生活風景を良く詠んでいるなぁ、と感じる好きな詩があります。

烏魯木斉雑詩 其一
山 田 龍 口 引 泉 澆
泉 水 唯 憑 積 雪 消
頭 白 農 夫 年 八 十
不 知 春 雨 長 禾 苗

意味は、
山近くの田園では、龍口(取水口)から水を引いて注いでいる。
その水はもっぱら山の上に降り積もった雪が解けたものによる。
ここ烏魯木斉では、齢八十にもなる白髪の老農夫でさえ、春に降る雨が稲を育むことを知らない。
というような意味ですが、
特に後半部はいかにもタクラマカンの農風景や風土を感じさせます。

(* 龍口とは、雪解け水を引く灌漑用トレンチの取水口のことですが、アフガンやパキスタンや新疆ウイグルではカレーズと言い、イランではカナートとよびます。)

・・・不定期に つづく

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