モロッコ イスラーム建築とサハラ砂漠 1985 … WanderVogel2012/03/28

サハラ砂漠とムスリム建築
- -
1985年、北アフリカ・モロッコに点在するイスラーム建築とサハラ砂漠を見るためにパリからマラケシュまでやってきました。

モロッコ(マグレブ)のイスラーム建築については、魅力的で奥深く多種多様な文化、歴史、気候風土を背景としていることもあり、とても一言では言い表せませんので別の機会にまわし、もうひとつのモロッコの魅力「サハラ砂漠」への道のりについて書いてみましょう。

ヨーロッパ(スペイン)とアフリカ(モロッコ)の間の狭いジブラルタル海峡を渡り、マラケシュからアトラス山脈を越えワルザザーテという町まで来ると、目に入る周りの景色は砂漠(土漠)の土色一色になってきます。
そこはベルベル人のふるさとです。


土漠の中を公共の乗合バスで移動していますと、時折写真のような土の城壁に囲まれた村がいくつも目に入ってくるようになってきます。
ちょうど放牧を終えたヤギたちが、村に戻っていくところに行き会いました。遠くの方に白く雪を頂いた高い壁のような山脈は、サハラ側から見るアトラス山脈です。

ワルザザーテからさらに東に走り、ティネリールという町を経由して、アルジェリア国境近くまで車で走ると、メルズーガという砂漠の入り口の村に着きます。
アトラス山脈を越えてこのメルズーガという村あたりまでは、砂漠というよりは(写真のような)土漠の景色が延々に続いています。
シルクロードの土漠との決定的な違いは植生にあります。ここで目立つのはナツメヤシの木で、それがいかにも“サハラ”という印象を強くします。

メルズーガ奥のサハラ砂漠はシルクロードや中近東の“土漠”と違い、本当にサラサラの微細な砂で出来ています。
そこにはカナート(カレーズ)などによる灌漑農法の可能性などまったくない、絶望的なほどの「無の世界」が広がっています。

黄色一色の砂漠を歩くと、くるぶしまで簡単にもぐってしまいます。
ひとたび砂漠の上を熱風が吹き荒れると、髪の毛の1本1本の中にまで細かい砂の粒子が入り込んでしまうほどです。


北アフリカ(マグレブ)のイスラム建築を理解するには、この“サハラ”を体験しなければ解らないのかもしれない、とその時感じました。

・・・不定期に つづく

アクセスカウンター