スペイン・ロンダの断崖に建つパラドール 1997 … WanderVogel2012/04/01

スペイン ロンダ1997
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スペインに点在するイスラーム建築、庭園を見て回るため、パリからマドリッド行きのTGVとタルゴに乗ったのが1997年9月の中頃でした。
アンダルシア地方を中心に9月から10月にかけて約一ヶ月間、コルドバ、セビーリア、グラナダ、ロンダなどの諸都市を巡ってきました。

イスラーム建築、モスク(スペインではメスキータと言います)の典型は大別すると4つ
1:ペルシャ型:イラン・イスファハンにある「王のモスク」(ササーン朝)
2:トルコ型:イスタンブールにある「イェニ・ジャミ」(オスマントルコ)
3:アラブ型:エジプト・カイロにある「アルム・モスク」(ウマイヤ朝)
4:インド型:インド・オールドデリーの「金曜日のモスク」(ムガール朝)
スペインに点在するモスクは、アラブ型(ウマイヤ朝)の建築様式を持っています。
アルハンブラ宮殿に代表される独特のデザインを持つイスラーム建築は「ムーア建築」とも呼ばれます。

スペインにイスラームが入ってきたのは、711年にベルベル人を先頭にジブラルタル海峡を渡って攻め込んできたウマイア王朝のアラブ人が最初で、それ以後1492年に最後のイスラム王国であるグラナダ王国を滅ぼすまでの長い期間イスラーム文化圏に取り込まれていました。
コルドバのメスキータやグラナダのアルハンブラ宮殿を初め、地方にもイスラーム時代に造られた邸宅、庭園などがあちこちに残されています

アンダルシア南部マラガの西にあるロンダという古い町は、ロンダ渓谷という切り立った崖の上にある町として有名です。
そこには断崖を利用したムデハル・ゴシック様式で造られた有名な「芸術的庭園」が残っていて、アラブ式の庭園でありながら、通常のイスラーム庭園とはまったく趣の違う「楽園」が広がっています。
その魅力は何といっても、ロケーションを生かした大胆な造園デザイン/設計手法にあります。
非常に興味深い、何ともダイナミックで美しいイスラーム庭園でした。

ロンダで何泊か宿泊したのが、写真左上の崖の上に建つ1761年に建造された旧市庁舎を改装したというパラドールです。
100mを越す絶壁を見下ろす(旧市街とをつなぐ)ヌエボ橋のたもとに建っていて、ロンダ渓谷のすばらしい眺望と眼下のオリーブ畑を一望することが出来ます。

個人旅行でしたので、事前に宿泊予約などは取っていなかったのですが、その前日に宿泊していたグラナダのパラドールのコンセルジュに頼み直接ロンダに電話をしてもらい、予約を取ることが出来ました。

グラナダのパラドールは、アルハンブラ宮殿の一部であるサンフランシスコ修道院をパラドールに改装したもので、宿泊客しか入れない庭園(パティオ)や館内外の装飾、客室と窓の外に広がる広い庭など、それぞれがアラブとキリストの両文化を融合させた独特の空間を作りだしていて、「千夜一夜の世界」のような雰囲気で満ち溢れていました。

ここも事前予約していなかったのですが、直接パラドールに出向いて交渉すると運良く部屋を取ることが出来ました。非常にラッキーでした。

・・・不定期に つづく

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