古民家/町家の解体・移築について … 建築の旅・WanderVogel2012/09/04

中越の町家解体現場
- -
先日のトリエンナーレで十日町市周辺を車で回っている時に出会った、民家(町家)の解体工事現場です。

部材をひとつひとつ吟味しながら丁寧に解体しているところでしたので、現場内部を覗かせてもらうと、梁や長押や柱など大きくて立派な材料を使っていることが解ります。

雪国独特の意匠である(軒を深く飛び出させるための)せがい(船枻)造と、軒まで張り上げた下見板が特徴的なこのデザインコードは、雪深いこの地方の気候風土が育てたものです。

せがい(船枻)造といっても、これにも地方色がいろいろあり、新潟(上中越)の場合は妻側の意匠が独特で、妻側から見える軒の出を支えている二段になった部分が一番の特徴でしょう。
建物自体はそれほど大きな家ではないですし、この辺りではごくごく一般的な町家の民家ですが、普請した時には材料を選んで建てられたことがわかります。

こういう民家は何も手を付けないと、ただ解体され捨てられてしまうことが多いものですから、移築によって第二の人生を歩んでいくことには大賛成なのですが、出来ればこの地域内での移築を望みたい。

昨日も書きましたが、その土地で育った建築文化はその地域にあってこその“伝統”であり、“文化”なのです。
それが一番望ましい姿なのです。

とは言え、朽ち果てて捨てられてしまうよりは、他の地域に移ったとしても長く生きながらえる方が「マシ」なのでしょうが…
この問題は、本当に難しい。


コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2012/09/04/6564954/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。

アクセスカウンター