出張先の道の駅で見かけた魅力的な鉢植え … 自然観察・WanderVogel2015/02/06

イワヒバの鉢植え
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今日は日帰り出張で、新潟・南魚沼市の地域振興局に打合せに出かけて来ました。

当初、関東圏でも降雪が予想されていて、お天気ニュースでさんざん脅かされての出発となりましたが、関越道を走って北上するにつれて天気は快晴、幸先よい感じです。
午前中に役所前で施主側の責任者と待合せをし、私の作成した資料を元に地域振興局(昔の土木事務所)の建築担当と協議が始まりました。

法的に少しクエッションな部分があることは承知で、細かい法解釈よりも実際の避難・防災面での運用上の考え方を説明して今日の打合せは終了しました。
泊まりになると予想していましたが、とりあえずボールは投げてきましたので、あとは県側の結論を出してもらう、ということになりました。
用途変更に絡む法解釈や手続きというのは、新築と違い実際にはなかなか面倒なものがあります。
とまあ、仕事の話しはさておき。。


時間が余ったので近くの道の駅に立ち寄ったところ、建物外に設置している花台に変わった鉢植え(盆栽?)が数個 無造作に放置されているかのように置いてありました。
魚沼の冷たい風に晒されて乾燥し、葉っぱも縮こまってかわいそうなほど小さく丸まっていて、まるで枯れているかようです。

「イワヒバ」です。漢字で書くと岩檜葉と書きますが、イワマツ(岩松)とも呼ばれます。イワヒバ科に属するシダ植物の一種です。

写真のイワヒバは別に、枯れているわけではないんです。この姿はイワヒバ特有の冬の過ごし方で、簡単に言うと「冬眠」しているのです。
イワヒバはもともと土に根を張る植物ではなく、崖地や痩せた岩肌などに根を張って育ちます。育ちます、といっても、目に見えてはほとんど成長しません。
ある本には、30年経ってもほとんど成長しません、と書いてあるほどです。


この姿を見ると、盆栽や山野草の栽培を趣味としている人くらいしか興味をひかないのもうなずけます。「イワヒバ」は江戸時代から育てられている古典園芸植物に数えられるもののひとつなのだそうですから、きっとかなりマニアックでコアな園芸家、愛好家、好事家がいるのでしょう。


写真の鉢植え、岩に取り付いたイワヒバをよく見てみると、かたちも良くてなかなか立派に見えます。
イワヒバの愛好家でなくとも、建築を仕事にしている人や古民家好きな人なら、イワヒバときいてすぐに想像するのが「芝棟」のことでしょう。

茅葺き屋根には「芝棟」と呼ばれる棟仕舞いの方法があります。茅葺き屋根の頂点(棟)を固定・安定させるためにわざと根の張る植物を植えて、棟仕舞いとするのです。
この芝棟に使われるのが、イワヒバです。

そのほかにもイチハツ(アヤメ科)やアイリスやニラなど、根張りがよくて乾燥に強い植物が棟に植えられました。
ヨーロッパにも茅葺き屋根の民家はたくさんあって、フランス(ノルマンディー地方)の「芝棟」はイチハツがよく植えられています。

日本では、イワヒバを植えることも多いのですが、その姿を見るといかにも「日本の茅葺き民家」という風情を出しています。

芝棟について:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2013/12/02/

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