奥多摩・御岳山のレンゲショウマ(蕾み) … 自然観察・WanderVogel2015/07/14

レンゲショウマの蕾み
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御岳山の名物、レンゲショウマ(といっても、僕は行くまでちっとも知らなかったのですけど。)

御岳山のロープウェー駅を降りて、レンゲショウマ群生地と書かれた案内看板に沿って植林地の斜面を登っていく。
斜面一面に、まん丸い蕾みを付けたレンゲショウマの姿が目に入ってくる。開花の時期は8月上旬だそうで、この日は一輪も咲いている姿を見ることは出来なかった。

日本特有の多年草で、レンゲショウマ(蓮華升麻)の名の通り、花は蓮花(はすのはな)に似ていて、葉はサラシナショウマ(晒菜升麻)に似ていることから名付けられたと言います。
太平洋岸の山地や深山の湿った林床に自生していたというが、今では絶滅危惧種に指定されている地域も多いようです。

8月に入るとここで「レンゲショウマまつり」が開催(レンゲショウマの群生としては日本一だそうです)され、平日でも多くの人(カメラマン?)で賑わうといいますが、この時期はこの斜面周辺も人気がまばらで静かなものでした。

花の少ないこの時期は、トリアシショウマの白い穂のような弱々しい花が目に付きました。

越後妻有アートトリエンナーレ・河岸段丘のかかし … ART・WanderVogel2015/07/15

河岸段丘のかかし
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改修工事の現場打合せで、新潟県の妻有地方に出張してきました。
関越自動車道を塩沢ICで下りて、魚沼丘陵を越えると旧中里村までは緩やかな下り坂がずっと続きます。

写真は、魚沼丘陵を越えて国道117号線にぶつかるまでの間にある「東田尻」という集落の中に立てられている「かかしの庭」の風景。
大地の芸術祭・越後妻有トリエンナーレの作品のひとつ、イギリス人の芸術家クリス・マシューズ作の「中里のかかし」です。

実はこの鹿の子模様の「かかし」は、開催年だけでなく、2000年の第1回目のトリエンナーレ時から(中里の地域の人の手によって?)毎年こうして時期になると立てられています。

青々とした田んぼの脇や桐、栗、胡桃の木立の下に、鮮やかな色づかいのポップな「かかし」が、僕たちを案内するかのように立てられています。
取り立てて何ということない作品なのですが、僕はこの「かかし」好きだなぁ。

奥多摩・林道脇のコマツナギの花 … 自然観察・WanderVogel2015/07/16

コマツナギの花
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奥多摩の越沢に向かう林道沿いで見かけた「コマツナギ」

斜面に生えている(植えられている?)ことを考慮しても、背丈以上の高さがあるように感じられたので、ひょっとするとトウコマツナギ(中国原産の外来種)なのかもしれないが、、、明確には見分けられなかった。

コマツナギ(駒繋):マメ科のコマツナギ属の落葉小低木。

名の由来はそのまま、馬の手綱を繋いでおけるくらい茎や根が丈夫なことに起因するのだそうだ。

林道などの法面の土砂崩れ・崩落防止で植えられるのは外来種のトウコマツナギであることが多いというのだが、最近はこの法面保護や崩落地保護のために導入し植えられた外来植物(ハリエンジュしかり、イタチハギしかり、)の問題があちらこちらで聞かれるようになっています。

とかく外来種というのは、他を駆逐する能力というか生存能力に長けていて、爆発的に繁殖する力を持ったものが多い。
これは、なにも植物だけに限らず、動物でも昆虫でも魚でも同じことが言えます。
「日本の侵略的外来種」で検索してみると、日頃おなじみの植物でも「要注意外来生物・特定外来生物」に指定されているものがホントに多いことに驚かされます。


ここで見たトウコマツナギは、在来種のコマツナギと見た目はほとんど変わらないのだが、とにかく背が高くて小低木という感じがしない。
以前にも樹高が3mくらいあるのを見たことがあるが、そうなると見慣れた背の低いコマツナギとはどうみても違う樹木に見えてきます。

ヤマホタルブクロ(山蛍袋)の隠れた戦略 … 自然観察・WanderVogel2015/07/17

ヤマホタルブクロの花
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先日行った奥多摩・御岳山の野道で見つけた「ヤマホタルブクロ」の花
本種のホタルブクロとの見分け方は、萼片のわずかな形状の違いにあるが、馴れれば見分けるのはそう難しくはありません。

植林された針葉樹の下草の中に混じって一輪咲いていました。
山野ではわりと良く見かけるので、そう珍しいものではないのですが、近寄ってよ~く見るとなかなか可愛らしい面白い形状をした花です。
この変わったかたちをした花、実は隠れた戦略を合わせ持っているんです。


名前の由来は昔、子供が袋のような形の花の中にホタルを入れて遊んだ、という謂れを良く耳にしますが、事実そういう遊びがあったのかどうかは僕には解りません。
そういった謂れに、命名の面白さも加わって、僕自身も森林探訪などの際にはそういう説明をすることもありますが、実際のところはどうなんでしょうねぇ。

ホタルブクロの花が、手に持つ提灯(ちょうちん)のかたちに似ているから、ということのほうが事実に近いのかもしれないですが、それだけの説明ではあまりに即物的すぎて情緒が無いかな。
提灯は古語で火垂(ホタル)と書くので、そう言われるとその方が説得力はありますね。

ホタルブクロの花の色は、関東では薄い紫色が多くて、関西では白色の花が多く自生していると言います。もしホタルを入れるのなら、薄紫色の花の方がキレイかも知れませんね。
まあ、おとなしくホタルが中に入ってくれれば、の話しですけど…。


変わっているこの花の形状は、中に入って蜜を吸う(花粉を媒介する)マルハナバチの身体の大きさに合わせて、花の筒の直径や長さが決まっているのだそうです。
誰でも花の中に入れるというわけでは無いんですね。花粉に触れずに蜜だけ吸う「蜜どろぼう」はゴメンというわけです。
ホタルブクロの隠れた生き残り戦略を見た気がします。

う~ん、またしても自然の持つ仕掛けの巧妙さ、不可思議さを実感します。

丹沢・戸川公園での森林整備作業 … インストラクター・WanderVogel2015/07/18

森林整備作業
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今日は、森林インストラクター仲間とやっている丹沢の戸川公園内での森林整備作業(ボランティア)に行ってきました。

僕には久しぶりの森林作業だったので、仲間内での作業とはいえ実はけっこう緊張していました。

フィールドは基本的にはスギ林なのですが、ところどころに実生で育った広葉樹もけっこうな大きさで育ってきています。
今日は朝から雨が降りそうな空模様でしたが、幸いに作業している間は雨が落ちてくることも無く、午前・午後ともにしっかりと整備作業をすることが出来ました。

ただ、ヤマビルの多さには閉口しました。
登山靴や作業靴ではなく、長靴を持って行ったのは正解でした。長靴とズボンの間にはしっかりガムテープで隙間をふさぎ、ヤマビルの避忌剤「ヒルさがりのジョニー」をスプレーして万全の対策を取ったことが幸いしたのか、靴の上には上がってくるがそれより上には上がって来れず、僕は被害を免れました。

ただ、他のインストラクターの1人はバッチリ噛み付かれていて、作業終了後のヤマビルチェックで発見した時にはかなりの出血がありました。
ヤマビルは噛まれて血を吸われている間は、噛まれている本人も全く気が付かないので、後で気付いた時にはたっぷりと血を吸われた後、ということになります。
血を吸われることより困ることは、噛まれた箇所の出血がなかなか止まらないことです。この時期の山作業は熱中症だけでなくヤマビルにも要注意です。

森林整備作業自体は、8人もインストラクターが揃って作業するのですから、目に見えてきれいになっていきます。
今日はけっこう頑張りましたよ。

西湘バイパス・ショートツーリング … バイクツーリング・WanderVogel2015/07/19

バイクショートツーリング
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本日、梅雨明け、ということで、かなり久しぶりのバイクショートツーリング出かけてきた。

春先の車検の際にちょっと乗ったのが今年最初で最後になっていたバイクを、たまには走ってあげないと機嫌が悪くなるのでは、と思い、高温注意報の出ているなか、湘南海岸を走ってきました。

自宅から、逗子経由で鎌倉の由比ガ浜まで30分、そこから国道134号線を海岸線に沿って西に走ります。
由比ガ浜から稲村ケ崎、七里ケ浜、江ノ島までは海水浴客で海も道路も沿線のお店も大混雑しています。
茅ヶ崎海岸辺りはいくらか走り易いが、駐車場に入れようとする車が片側1車線をふさぎ、すり抜けの出来るバイクはまだマシだが車は同じく大渋滞です。

平塚、大磯、二宮辺りはいくつかある大きな神社の祭礼・夏祭りで海沿いの道路まで神輿が繰り出し、ここでもまた渋滞です。

そのまま真鶴半島まで走り、漁港でお昼を食べて戻ろうとも考えましたが、すでにその先もガッツリと渋滞情報が出ていたので、今日は小田原までの往復100km程度を走って終わりにしました。

今日の気温で渋滞にハマってしまうと、まるで修行僧にでもなったかのように、ただひたすらに暑さに耐える「修行」が待っています。
股の間に熱い内燃機関を抱え、背中は暑い陽射しでジリジリ焼かれ、プロテクターの入ったズボンやジャケットは熱を溜め込み、ヘルメットの中はまるでシュウマイ蒸し器のように湯気を上げています。

陽炎の立つアスファルトの地面からの照り返しは、タイヤのゴムが溶けてしまうのでは、と心配になるほどです。

これだけ気温が上がるとバイクも息切れしていましたが、乗っている人間の方も大変です。
若い頃はそれでも根性で乗っていましたが、この歳になると命の危険を感じます。いや、交通事故死ではなく、疲労死や熱中症による死亡のほうが現実味を帯びてきていますからね。

というわけで、熱中症にならないうちにサラッと乗って、さっさと帰ってきました。

横浜に高温注意報が発令され不急の外出は禁止、ということで … 自然観察・本2015/07/20

つる植物
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神奈川県・横浜全域に「高温注意報」が発令され、不急の外出を避けるようにネット上で警報がまわってきました。

確かに、この暑さは尋常ではない。
横浜市の中でも海よりの金沢八景は海からの涼しい風が吹くので、気温が高くても割りと過ごし易いのですが、今日の暑さはさすがに堪えます。

こんな日は外出を避けて、部屋で読書するのが正解かもしれません。先日買ってきた「里山のつる性植物」というNHK出版の本をペラペラめくっています。

この時期 山に入ると、森林と平地との境に鬱蒼と茂るツル性の植物たちをよく見かけます。いわゆる「マント群落」と呼ばれる一帯です。
ツル性の植物は自分で自立することが出来ないので、他の樹木に巻き付き、時には枯らしてしまうこともあることから、悪者のイメージがありますが、実は森や林の環境にとってとても重要な役割を担っている大切な植物たちなのです。

森や林の樹間を強い風が通り抜けるのをマントを広げるようにブロックして、冬の寒さや夏の乾燥から森の環境を守っているのですよ。加えて、強風による倒木もガードしてくれています。
また、つる性植物はたくさんの花や実を付けることから、小鳥や昆虫の重要な餌場にもなっています。
巻き付かれる樹木本人にとっては迷惑な存在かもしれませんが、山の環境全体からすればとても大切な、なくてはならない植物なのですね。


書店に頻繁に通っていても、なかなか目的にかなった書籍というのは見つからないものですが、この本はとても面白い本でした。
写真が多く説明文は少なめなのにも関わらず、似たような図鑑よりも解説内容が鋭い気がします。

雨に濡れた森に浮かび上がるイワガラミの装飾花 … 自然観察・WanderVogel2015/07/24

苗場山麓のイワガラミ
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この3日間は埼玉・新潟・埼玉と仕事でハシゴして気の休まる暇がなかった。

帰りに通った苗場山一帯は濃い霧に覆われて森全体がしっとりと濡れていた。
車で通りかかった裾野で、日暮れ前の森の中でボゥッと白く浮かび上がっていたのはコナラの木に絡み付いて咲いていたイワガラミの花。

花と言っても、本当の花はまだ小さな蕾みで、つぼみの周囲に一枚ずつ飛び出た真っ白い装飾花は萼片の変化したもの。
雨に濡れて艶々した黄緑色の葉とのコントラストが美しかった。

イワガラミといっしょに巻き付いていたのがツタウルシ。うっかり触れると危ないところでした。

丹沢ヤビツ峠・下草刈り森林整備作業 … インストラクター・WanderVogel2015/07/25

ヤビツでの下刈り作業
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今週は仕事での忙しい日々が続きましたが、今日は神奈川県森林インストラクターとしてのボランティア作業で、丹沢ヤビツ峠にある植林地で行なわれた下草刈りの指導に出かけました。

ここは、県内にある団体の森林整備活動の一環として十数年前から植林が行なわれてきた一帯です。

植林作業というのは、苗木植えればそれで終わりというものではなく、植林した苗木がある程度の高さに育つまでは、毎年毎年下草刈りをしてあげなければいけません。
これは畑で作物を作るのとまったく同じことです。
植林した幼樹が下草に負けないような大きさに育つまでは、人の手でしっかりメンテナンスをしてあげないと樹木はうまく育ちません。

幸いここでは、毎年継続して行なった下草刈りなどの作業によって、植えた当時小さかった苗木も写真で見ても解るような大きさ・高さにまで育ちました。(多少まばらではありますが…)
でも、ここまで育てばもう下草の日陰になることもありませんので、これから順調に育っていけると思います。
ここでの下草刈り作業も今年でいちおう完了となります。


企業や団体・学校などで行なう「森林整備活動」というのは、その実質的な成果というよりは、地元神奈川の山の環境・水の環境を自分たちで守っていくのだ、という意識を持ってもらうことが第一義的な目的です。
今日は炎天下の中、熱中症に気遣いながらの短い時間内での作業となりましたが、手を入れたところと入れていないところが遠くからでもはっきりと解るくらいの成果となって現れました。
参加された300名以上の一般ボランティアの方々も、帰り際にこの姿を下から眺めれば満足してもらえたのではないかと思います。

心配していた「ヤマビル」「スズメバチ」「毒ヘビ」などの危険な生きものも今日は姿を現すこともなく、ケガ人や病人も出ずに無事に作業が終わり大変良かった。

それにしても、なんともまあ 暑い暑い一日でした!

変わった花のツリフネソウにもちゃんと理由があるんです … 自然観察・WanderVogel2015/07/26

ツリフネソウ
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先日、出張の帰りに三国山のふもとで見つけたツリフネソウ。

緑の斜面の中に点在するピンク色の花は、ワインディングロードを走る車の窓からでも容易に発見出来ます。
道路脇の少し広くなっている場所を探して車を停め、斜面を上がって確かめてみるとツリフネソウがあちらこちらで花を咲かせて(ぶら下げて?)いました。
座間にある谷戸山公園で見かけたキツリフネソウと色違いのツリフネソウです。

この花、変わった形をしています。小さな船を吊っているような形からツリフネソウというのですが、生態もちょっと変わっています。

7/17のblogでホタルブクロとマルハナバチの共存関係についてチラッと書きましたが、このツリフネソウも同じように(トラ)マルハナバチと密接な関係を持っています。

花のお尻のところにクルッと丸まった部分が写っていますが、実はこの中には美味しい蜜がたっぷりと詰まっているのですが、誰でもそこまでたどり着けるわけではありません。

ツリフネソウの壷型の花の形状にあった体つきをしていてかつ、この丸まった筒から上手く蜜を吸い出す口を合わせ持ったトラマルハナバチしか蜜を吸うことは出来ないのです。
そして花の内寸にピッタリの身体付きをしたトラマルハナバチは美味しい蜜を受取るのと引き換えに、ツリフネソウの思惑通りに、花粉をしっかりと身体にこすり付けらることになります。

同じ仲間の少し身体の大きいクロマルハナバチは、太っていてこの花の中には入ることが出来ません。このサイズにジャストフィットするのがトラマルハナバチというわけなんです。

ちなみに、サイズの小さいミツバチなどは中には入れますが、蜜にまでは届きません。上手く出来ているもんです。
自然界の仕組みって、ほんとうに面白いですねぇ。

キツリフネソウの花:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2015/06/28/

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