ニリンソウの群落・三浦安針塚と横須賀軍港 … 自然観察・WanderVogel2014/04/20

塚山公園のニリンソウ
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朝方まで雨がしとしと降っていたので、遠出するのは控えて山上の畑を見回るついでに、三浦按針(徳川家康に仕えた英国人ウィリアム・アダムス)の墓を祀っている塚山公園(というか里山?)を散策して来ました。

時おり小雨が降ってはいたが、概ね薄曇りの天気で、なんとか3時間ばかりの里山散策を終えることが出来た。
塚山公園一帯は明治の頃から桜の名所だったそうで、今もソメイヨシノやオオシマザクラ、ヤマザクラなどが植えられた「さくら谷」というのがあります。

高台の見晴し台からは猿島、東京湾に浮かぶ第一海堡、第二海堡や房総半島までもが一望できます。
また、眼下には横須賀の軍港と明治4年に完成し今も現役で使われている日本最古のドライドック(1号ドック)群も見渡すことが出来るんです。
(今日は日本各地の基地のイージス艦が横須賀基地に勢揃いしていて、湾内に入りきらずに、外に停泊しているイージスもいます。今日は本当の海軍カレーコンテストが開催されているんです。優勝は潜水艦隊のカレーだったそうです。)


幕末の明治維新によって江戸幕府が廃され明治新政府が成立したわけですが、横須賀造船所の建設は幕府時代と同様にフランス人技術者レオンス・ヴェルニーのもとで引き続きドック建設は進められました。慶応3年(1867年)から建設が開始されていた1号ドックは明治4年(1871年)に完成しました。

その後、大東亜戦争までの間に6号ドックまで造られることになります。
ちなみに、6号ドックでは大和型戦艦の「大和」「武蔵」に続く三番艦として計画された「信濃」(途中で航空母艦に改装)が建造された。信濃はここで進水式をした後に、呉軍港に回航される際に米潜水艦の魚雷攻撃で沈んだ。(そのあたりの詳しい内容は、それぞれの専門書を読んでみるとかなり面白い)

そして、それらのドックは今も変わらず自衛艦やアメリカ軍艦の改修・修理など現役で使われています。
それらの施設や艦艇を望めるこの場所は、一部の軍記/軍事オタクに留まらず、幕末/明治維新好き、(建築/土木など)歴史文化遺産好きにはたまらない見晴し台だろう。

と、そんな話しはさておき、安針塚を祀る塚山公園ではこの時期、サクラはすでに盛りを過ぎていて、かろうじて八重桜が数本 薄曇りの空に彩りを添えているくらいだが、足下を見るとニリンソウの群生が清楚な白い花を見せてくれています。

キンポウゲ科のニリンソウ、若葉は食用になるそうだが、この周辺にはよく似た葉っぱを持つトリカブトも一緒に生えているので、よほど自信がない限り摘んで帰って食べようなどとしない方が良いだろう。
この時期は花を見れば間違いようもないが、いちおうここではニリンソウは保護されているので、若葉といえども摘んではいけない。

その他にも、畑では雑草扱いのホトケノザやヒメオドリコソウ、ヤエムグラなどは引き抜かれることなく一面にはびこっています。
可憐な花のヒメハギ、タチツボスミレ、ムラサキケマン、フデリンドウの花も咲いています。
不思議なかたちの花を持つウラシマソウも何故かあちらこちらに姿を見せています。

里山では定番の高木、秋に多くのドングリを落とすコナラやクヌギも、春には淡い黄色の雄花をすだれのようにたくさん垂れ下げて、春の里山らしさを一層感じさせてくれています。

横須賀造船所第1号ドック: http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2013/11/08/

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