現場検査に行く道すがら見つけたイヌビワの実 … 自然観察・WanderVogel2016/12/26

イヌビワの果実
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葉が全て落ちて枯れ枝のようになったイヌビワの枝先に、赤い実がひとつ付いていました。

初冬のこの時期に赤い実が残っていると言うことは、この木は雄の木かな?
中にはイヌビワコバチの幼虫(卵)が入っているのでしょうね、きっと。

イヌビワ(犬枇杷)はビワと言う名が付いていますが、実の形を見ても解るようにイチジクの仲間です。
クワ科イチジク属になります。別名イタビとも言います。(ちなみに、ビワはバラ科です。)
同じ仲間に、ツル性のイタビカズラやオオイタビなどがありますが、どちらも神奈川県内の山に入ると割りとあちこちで目に付きます。

イチジクは漢字で「無花果」と書かれる通り、花を咲かせても一見すると写真の果実の状態と区別出来ません。「イチジク型花序」と呼ばれる構造の花を咲かせます。
この実の内側(中心部)に内向きに花を咲かせているので、外側からは見ることができないと言うわけです。
そうは言っても雄しべと雌しべがあって受粉して、というプロセスは他の花と変わらないわけですから、誰かが花粉を運ばなければ果実には成らないのです。

それを担っているのが、上で書いた「イヌビワコバチ」ですよ。
イヌビワコバチ(雌)は、この果実と同じ形状の花の先端に空いている小さな穴から中に入って、受粉の手助けをします。

ですので、イヌビワはイヌビワコバチがいないと受粉することが出来ない樹木なのです。自生のビワも同様にビワコバチがいないと自然界では受粉することは出来ません。
いったん中に入ったイヌビワコバチは、そこで花の受粉を助けることになるのですが、狭い穴をこじ開けて無理矢理入った雌は二度と外に出ることは出来ません。
ですので、自然界のビワ(イヌビワ)の果実の中には、必ず1匹以上の雌のイヌビワコバチが閉じ込められています。

イヌビワはコイチジクとも呼ばれていますので、黒く熟した「果実」は食べられますが、イチジクよりも味が劣るので「イヌ」という名が付いています。
自然受粉ですので、果実の中には虫(雌のイヌビワコバチ)が入っています。まぁ、それも「味」だとして、気にしなければOKですけどね。

スーパーで売っているくだもののイチジクの果実は、果樹園で人の手で受粉し育てられているので、虫は入っていません。

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