この時期、野山で一番目立つ花・ヤマユリ … 自然観察・WanderVogel2017/07/24

ヤマユリの花
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昨日の続き、、

日本原産のヤマユリは、花自体が大きくてかなりハデな姿なので、咲いていると遠くからでも一目でその存在がわかります。
この時期、ヤマユリもちょうど開花の真っ盛りなのですが、地面に目をやるとあちこちにイノシシが掘り起こした痕跡を目にします。ヤマユリのユリ根を狙って掘っているのでしょうか?
人にとっても縄文時代からユリ根は大切な食料でしたし、今でもユリ根は日本人の食文化には欠かせない食材ですよね。

ヤマユリは神奈川県の県花に指定されています。
その背景としては、神奈川県がヤマユリの有数の自生地であったこと、明治初期から昭和初期にかけて、日本から外国への主要な貿易品であった「生糸」と並んで、「ユリ根」の積み出し港(日本から輸出されるユリの球根の9割近くは横浜港からだったようです)だったから、とのことです。
明治6年(1873年)、ウイーン万博でヤマユリを含む日本のユリの花が大好評を博したことを契機に、それ以後ヨーロッパやアメリカへのユリ根の大量輸出が始まったのだと言われています。

神奈川県でも、農家でヤマユリの山採りや栽培が盛んに行なわれたようです。
輸出が始まった当初は、神奈川県をはじめ関東地方の山野にイヤと言うほど(?)自生していたヤマユリですが、その「山採り」の量は、一説では数百万球とも一千万球とも言われています。
ちなみに、明治41年(1908年)の国産百合根累年輸出額表という記録によれば、輸出量は1,200万球に上ると記録されています。最盛期にはなんと4,000万球にも達したとも言われていますので、驚きしかありません。
もちろんこの中には、栽培されている分も含まれているとは思いますが、それにしても今から考えると、「いくら売れるとはいえ、どんだけ採るんだよ!」という感じです。
それだけヨーロッパ、アメリカでの人気が高かったということなのでしょう。


余談ですが,先週末に出張で立ち寄った十日町市の旧中里村では353号線の脇や117号線の津南村との間の街道脇で、カサブランカを売る出店をたくさん見かけます。
カサブランカは日本原産のヤマユリのハイブリット版で、ヤマユリの特徴でもある花弁内側の黄色の筋や朱の斑点が無く、純白の大輪の花を咲かせるので(特に冠婚葬祭に)人気があります。
日本にはヨーロッパ(オランダ)からの逆輸入というかたちで入って来たものですが、十日町市の気候に合ったのでしょうね、盛んに栽培されていて上記のように道端の無人販売所でも切り花として売っています。

カサブランカの名前の由来はわからないけど、白い花と「casa blanca」を掛けた?のかな。
モロッコ・サハラ砂漠にひと月ほど行ったことがあるが、僕にはユリの花のイメージとは結びつかないのだけどなぁ。

やっと正体が判明しスッキリ!・ヤマウツボ … 自然観察・WanderVogel2017/07/25

西丹沢のヤマウツボ
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今年の5月、西丹沢の上流域でのフライフィッシングの最中に見つけた変な植物?です。

見つけた時は、ヤマウツボかな?とは思ったのですが、なんだかちょっと全体のシルエットが違う気がしていて、頭のどこかにずっと引っ掛かっていました。
昨日ふとしたきっかけで同定出来て、モヤモヤがスッキリ解消しました。やはりヤマウツボでした。
こういうことがあるから、解らないものを見つけた時にはしっかりと写真を撮っておくのが良い。あとから同定するのに役立つように、特徴がきちんと解るように様々な部位を細かく撮っておくのが大切です。

オニク(御肉)という変な名前の植物かなとも思いましたが、オニクは8月から9月にかけて開花すると書かれているので、5月の時点でこんな感じということはやはり開花時期が違うようです。
オニクは「滋養強壮・強精剤として漢方薬の原料になる高価なもので、木曾御岳山や富士山麓のオニクは特に有名」、と書かれていたのでちょっと期待したのですが、やはりこれはヤマウツボで間違い無さそうです。

5月から7月にかけて開花するヤマウツボですが、下から花が咲き始めだんだんと上に向かって咲いて行くということなので、こういう姿というのも納得出来ます。
ヤマウツボもオニクもともに同じハマウツボ科で、カバノキ科やブナ科の根に全寄生する葉緑素のない一年草。丹沢を含め、本州以北の亜高山で見られます。

ブナをはじめ、西丹沢の畦畔林にはヤシャブシやケヤマハンノキなどカバノキ科の樹木も多く生えているので、育つ環境としてはピッタリと言える。
そこまで写真を撮りきれていないのが迂闊ではあったが周りに散らばる落ち葉を、撮ってきた写真から探って見るとハンノキ属の葉っぱや果穂、雄花序などは見当たらなかったが、ブナの葉はたくさん確認出来たので間違いないだろう。(あとはケヤキとイタヤカエデ、イロハモミジなどが写っていた。)

この場所にはヤマウツボが群生して7~8本生えていました。
ヤマウツボの群生が丹沢の山中で見られるというのはやや珍しいと言えるかな?


同じ仲間のヤセウツボの方は、僕の住んでいる金沢八景の海のそばでよく見られます。
ヤセウツボは樹木の根ではなく、シロツメクサ(マメ科)やヤブジラミ(セリ科)といった草本の根に全寄生して、春先(5月頃)に勢力を伸ばして姿を現します。
ヤマウツボと同じ仲間と言ってもその姿かたち・印象はかなり違っていて、パッと見、違う種類に見えてしまいます。

野島のヤセウツボ:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2016/05/11/

魚沼丘陵で見かけたヤマブドウの若い実 … 自然観察・WanderVogel2017/07/26

ヤマブドウの若い実
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先日行った魚沼丘陵での1枚。ヤマブドウの若い実。

径の脇にはあちこちにこのヤマブドウの姿を見ることが出来る。やはり新潟、自然はとても豊かだ。
春先の山菜というイメージの強い「ワラビ」は、この暑い時期にもどんどん新芽が出てきていて、盛夏までワラビ狩りを楽しむことが出来る。
ただ、こちらでは当たり前すぎるのか誰も採ろうとはしないので、伸び過ぎたワラビがワサワサとジャングル状態に茂っているのであるが。

野生種のヤマブドウは栽培品種のブドウと違い、雌雄異株の木なので雄雌両方の株が近くに無いと実を結ばない。
それにしてもこのヤマブドウの株は見事だった。大きな実を付けた房がまさに鈴なりに実っていた。
ブドウの実は当然、この山に棲む動物たちの大切な食料になるのだろうが、時期が合えば熟す頃に再びここへ来て、山ぶどう狩りを楽しみたい気分になる。

ヤマブドウの実は、そのまま食べても美味しいし、ジュースにしてもジャムやシロップ漬けにしてもなかなかいける。
もちろん、果実酒にしても美味しいことは言うまでもないのだが、聴くところによるとヤマブドウで果実酒を作ると「ワイン」の扱いになり、作ること自体が酒税法に抵触するということのようだ。

ヤマブドウのツル(蔓)で作る籠や皿、バッグなどは山の工芸品の中でも特に珍重され、買うととても高価なものなのだが、他のつる性植物の蔓と違って採取して編むまでの加工やなめしがとても大変のようで、こればかりは素人ではなかなか手が出ない作業だ。
ブドウのツル製品がとても高価なのもうなずけます。

ウリハダカエデの若い翼果・魚沼の山 … 自然観察・WanderVogel2017/07/27

ウリハダカエデの若い翼果
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ウリハダカエデ(雌木)の若い翼果。

上越国境や魚沼の山中で割りと良く目にするウリハダカエデ。
以前はカエデ科でしたが、新しい分類(APGⅢ)ではムクロジ科カエデ属に分類されています。

若い木の木肌がウリ(マクワウリ)の実の肌に似ていることから名づけられたウリハダカエデですが、成木になると木肌は灰色のコルク質になり、ウリハダとはちょっと言えない姿になります。
良く似た仲間にホソエカエデやウリカエデなどがありますが、見分け方はそれほど難しくはなく、(イロハモミジなど)同定の難しい他のカエデ類と違って明確に区別することが出来ます。

この時期は雌花が若い実(翼果)に姿を変えていて、種子部分がぷっくりと膨らんだ特徴的な実をたくさん枝先にぶら下げています。
翼果2つがセットになってくっ付いたかたちで、房状に垂れているのが特徴です。

ウリハダカエデはホソエカエデと並んで紅葉の美しいカエデで、丹沢の山でも紅葉の時は見物です。

ウリハダカエデの新芽の展開:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2015/04/21/

姪も山装備を揃えて、いよいよ山デビューか? … 山歩き・WanderVogel2017/07/28

20170728山装備購入
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今年から姪のmiを山に連れて行くべく、昨夜横浜みなとみらいで落ち合い、とりあえずの初心者向け山歩き装備一式を買った。(もちろん僕の財布で)

みなとみらいにあるmont-bell、日本大通りにある石井スポーツ、mammutと巡り、4時間を費やし、一式揃えた。
近くのpatagoniaに行くには時間がちょっと足りなかったなぁ。

実際には、水筒やカップ、山用の腕時計、ランプ、コンパス、スパッツ、エマージェンシーキットなどまだまだ揃えなければいけないアイテムはたくさんあるのだが、それらはとりあえず僕の予備を使ってもらうとして、明日にでも日帰り山歩きが一応出来る装備だけは揃えることが出来た。
トレッキングシューズmont-bell、ザック(30L+5L) ドイター、アウタージャケット/ゴアテックス、長袖ウエア、サポーティックタイツ(トレッキングタイツ)、トレイルパンツ、山用下着(ショーツ+ブラ+Uネックシャツ)、メリノウール靴下など、最低限のアイテムを揃えただけで10万円、財布が空になりました。

今年中にmiと一緒に、国内の低山歩き2~3回、海外山歩き1回を計画している。
僕の方は買い物疲れで、中華街で遅めの夕食を食べて飲んで、miくんを送り届けて、自宅に戻ったら深夜になっていたよ。

願わくは、フライフィッシングとバイクにも興味を持ってくれれば、フライ道具一式とモトグッチ・フーリアをすぐにでも譲るのだが、、、それらはもう少し時間がかかりそうだ。
まずは、山歩きから。

相も変わらず、夏野菜の収穫 … 畑の収穫・WanderVogel2017/07/29

夏野菜の収穫
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相も変わらず、畑での収穫物です。

日暮れ前、雨が降り出しそうな黒い雲が広がってきたので急いで畑に行き、とりあえずぱっぱと収穫してきました。
今回は3日に1回の収穫ペースをサボってしまい、知らぬうちに6日も間が空いてしまったんですよ。
でも、大きく育ち過ぎた感のあるオクラも、何とか食べられそうでひと安心です。

収穫物は、ゴーヤ(2種、8本)、オクラ(2種、15本)、シシトウ(たくさん)、キュウリ(6本)、小玉スイカ2個。
青カボチャはまだ冷蔵庫に余っているので、今回は持って帰らなかった。

小玉スイカはちょうど良いタイミングで畑で会った地主の奥さんにいただいたもの。
僕にとっては今年の初物です。ラッキー!でした。

First Aid Kitをあらためてチェックしてみた … 山歩き・WanderVogel2017/07/30

First Aid Kit
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日曜日の午後、今年から姪と一緒に山歩きを始めるにあたり、あらためてFirst Aid Kit の中身を見直してみた。

山に行くたびに毎回、ザックに突っ込んで持っては行くのだが、実は山ではめったに開けたことが無い。
なので、自分でも何が入っているのか忘れてしまっていたりもする。
これを使う機会など無いに越したことはないのだが、年に1〜2回は中身を見直し・チェックしてみないとやはり心配。

では、First Aid Kit には何が入っているのか?というと。
塗り薬(抗生物質、ステロイド、他)、胃薬(正露丸糖衣)、風邪薬、解熱鎮痛薬(アスピリン・ロキソニン)、虫刺され塗り薬、日焼け止め、各種大きさのバンドエイド、伸縮包帯、目薬、薬用リップクリーム、うがい薬、ナイフ、ハサミ、爪切り、ソーイングキット、小型ライト、緊急用ホイッスル、ライター/マッチ、綿棒/楊枝、マスク、貼るカイロ、ティッシュ、アルミサバイバルシート、健康保険証/山岳保険証等のコピー、小額の現金(¥2,000)、extractor(ポイズンリムーバー)、、、
などを小型のファーストエイドキットパックに収納して持ち運んでいる。

この中で、一般的にあまり馴染みが無いのは「ポイズンリムーバー」と「サバイバルシート」かな?
ポイズンリムーバーは、蜂に刺されたり、ヘビに噛まれたりした時にいち早く毒素を吸い出すための小型のポンプで、傷の大きさによって4種類のカップが付属している。
サバイバルシートというのは、道迷いや不測の事故で止むなく山中で一夜を過ごさなければならない時(ビバーク)や、怪我等による出血で体温が急激に低下した時などに使うアルミ蒸着された大型シート。全身をこれで包むことで保温性が高まり、体温の低下を防ぐことが出来る。これは1回限りの使い捨てのシートになっている。
貼るカイロというのも同様の用途で使用する。


海外の山歩きに出掛ける時は、これに加え「湿布薬」「筋肉消炎塗り薬」「胃薬の予備」「浄水添加剤」「サプリメント」「消毒用ウエットティッシュ」「ダイアモックス(高山病薬)これは現地調達」などを日数分持って行くことになる。
ネパールの山を歩く時などは、サプリメントというよりはダルバートを美味しく食べるための副食や調味料の方が「薬」以上に大切なアイテムだったりする。
もちろん、海外山歩き用の保険証のコピーなども忘れずに入れておく。

このほかにも、予備電池や予備コンパス、お助けロープ(シュリンゲ・細引き)+カラビナ、補修用絶縁テープ、予備の地図コピー、非常食など、滅多に使うことは無いのだがイザという時のために持って行くべき非常用品はけっこう多いものだ。
丹沢を歩く時には、ヤマビル用の避忌剤と塩は必需品だ。実際にこれだけはホントによく使う。
携帯電話やスマートフォンなども山では「非常用」として機能するので、常にフル充電して防水パックに入れて持ち運ぶ。

First Aid Kit のうち、薬品関係は使用期限があるので、小まめにチェックして入れ替える必要がある。
これも僕などは国内の山歩きではめったに使ったことは無いのだが、保険だと思って揃えておくようにしている。

今回見直してみて解ったのは、塗り薬はやはりすべて買い替えたほうが良さそうだ、また、足のツリに効果がある漢方薬「芍薬甘草湯」も無くなっていた。
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)については、自分用というよりは、山で出会う人の中で足がつって動けない時のお助け用のアイテムで、自分は服用したことは無い。

バンドエイドも時間が経つと粘着力が落ちるので、定期的に買い替えて持って行く必要がある。
ここで盲点なのが、100均で売っている「バンドエイド?」だ。
安くて種類も豊富で一見良さそうなのだが、これは新品でも接着力がめちゃめちゃ弱いので、いざ使おうとしても使い物にならなかったりする。これは注意が必要だ。

姪もこれから山歩きを続けていくのであれば、自分用のFirst Aid Kit をきちんと考えて揃える必要があるのだよ!

グリーンピースのような種子をぶら下げたアオギリの木 … 自然観察・WanderVogel2017/07/31

アオギリの若い種子
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金沢八景・国道16号沿いに植えられている街路樹のアオギリ。

アオギリの木を見上げると、グリーンピースのような緑色の種子が鈴なりに成っていた。
アオギリ(青桐)はアオイ科アオギリ属の樹木で、中国南部から東南アジアが原産の落葉高木です。
桐という名が付いていますが、キリ・桐(キリ科)とは「属」も「科」も「目」もすべてが違っていて、まったく関係のない樹木ということになります。

葉っぱが桐の葉に似ている(実際にはあまり似ていないように思うのだが)、ということと、中国ではどちらにも「桐」という漢字が付けられていた、ということでその名があります。
樹皮はその名の通り、青色(緑色)をしています。

先日(9月7日)blogに載せた時にはまだ小さな花の姿だったのに、いつの間にか立派な種子が出来つつありました。
あの花の姿から、どうしてこういった形に変化するのか!、実際に見てみてもすごく不思議です。
舟形の子房(さや)が大きく展開していく過程もとても不思議ですし、サヤの縁に種子が付く仕組みも不思議です。

夕方、打合せからの帰り道、国道16号沿いの街路樹の下で上向きにカメラを構えて何枚も写真を撮っている姿は、すれ違う人にとっては何とも怪しく映ったことだろうな。
こんなもの一生懸命に写真に撮る人なんてあまりいないだろうから、かなり不思議がられただろうけど、僕にとっては「こんなの」がとても興味あるものなんです。
自然界の持つ進化の仕組みの複雑さ、「子孫を残す」という植物にとって一番大切なところの不思議さを感じさせてくれます。


そして、このグリーンピースの様な種子。
古くから食用にもされていたようで、なんと戦時中にはこの豆をコーヒー豆の代わり(代用品)として、炒ってコーヒー?を淹れて飲んだ、と言う話もあります。
そう言われると、自分でもコーヒー中毒と思うほどコーヒー好きな僕としては、、飲んでみたいような、、いや、遠慮したいような、複雑な感じがします。

この先、もしコーヒー豆が配給制になり、それも止まってしまったら、この話を思い出してアオギリコーヒーを淹れてみようかな?
絶対に美味しくないと思うけど、、、。


このアオギリ、あとひと月もすると種子を含めて子房も茶色く色付き、下記のような姿になります。

アオギリの種子:http://hd2s-ngo.asablo.jp/blog/2016/09/08/

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